欧州・ロシア
露軍ズメイヌイ島撤退の背景 トルコが取引、穀物ルート確保?
ロシア軍が、ウクライナ侵攻開始日に占領した黒海の要衝ズメイヌイ島から撤退した。ロシアは、ウクライナからの穀物輸出のための人道回廊設置という「善意の印」による撤退としているが、背後にトルコとの取引があった可能性が指摘されている。ロシア国内に目を向ければ、戦争の長期化を見据え、議会で事実上の「戦時経済体制法」の審議が進み、連邦保安局(FSB)など治安機関が反対派摘発を強化している。
【上昇気流】(2022年7月8日)
「イナフ・イズ・イナフ」――。「もうたくさんだ」という意味の英語で、日本人にもその感じがよく分かる。スキャンダルの相次ぐ英国のジョンソン首相に抗議し、保健相を辞任したジャビド氏の言葉だ。ジョンソン氏を辞任表明に追い込んだ政府関係者や国民の声でもある。
【上昇気流】(2022年7月7日)
ロシアの反体制指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は、モスクワ東方の「ロシアで最も恐ろしい刑務所」で獄中生活を送り、プーチン大統領の肖像の下に座らされているという(小紙7月3日付)。
独カトリック教会 脱会者が急増 聖職者の性犯罪 最大の理由
独ローマ・カトリック教会司教会議(DBK)が6月27日、ボンで公表した「2021年教会統計」によると、35万9338人の信者が昨年、教会から脱会した。20年比で約62%の大幅増だ。脱会の最大の理由は、聖職者の性犯罪問題とそれを隠蔽(いんぺい)してきた教会指導部への不信だ。
欧州首脳に世論分断圧力 ウクライナ危機、長期化で支援に温度差
スペイン・マドリードで30日に閉幕した北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は、フィンランド、スウェーデン2カ国の加盟申請を受け入れ、ロシアを最重要な具体的脅威と位置付け、同機構の軍装備の強化やアジア太平洋地域の中国の脅威を共有して閉幕した。
露軍はウクライナ制圧貫徹 プーチン氏 G7への「返答」
ドイツ南部バイエルン州のエルマウで26日から3日間の日程で先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開催された。主要テーマはロシアのウクライナ軍事侵攻だ。ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオでG7サミットに参加し、ウクライナへの武器供給、経済支援を要請する一方、ロシアにさらに厳しい制裁を求めた。
フィンランド・スウェーデンNATO加盟問題【ウクライナ危機 識者に聞く】
トルコにはウクライナ危機が起きた黒海地域の大国の一つという強い自負がある。また、ウクライナ危機以前、ウクライナともロシアとも関係は比較的良好だった。NATO(北大西洋条約機構)加盟国という立場から、基本的には欧米、ウクライナ寄りの立場である。
ドイツ 揺れる脱原発政策 対露制裁で政策覆す事態
ウクライナに武器供給するドイツに対し、ロシアはドイツ向け天然ガス輸出を大幅に制限してきた。再生可能エネルギーの拡大に乗り出す一方、脱原発、脱石油を掲げるドイツでは、新たなエネルギー供給源を探す一方、操業中の3基の原子力発電所の操業延長を求める声が高まってきた。
野党に協力呼び掛け 仏大統領
【パリ安倍雅信】フランスのマクロン大統領は22日、19日の下院選で与党連合が過半数割れしたことを受けてテレビ演説を行い、妥協点を見いだす新たな政治への理解と協力を求めた。与党連合の獲得議席は過半数に44議席も足りない245議席にとどまり、マクロン氏はドイツのような複数政党による政治運営形態に変わったことを認めた。 マクロン氏が頼れるのは、親欧州連合(EU)の中道右派・共和党(61議席)と保守系小政党だが、共和党は連立政権に加わることに否定的だ。 第2党の急進左派「不屈のフランス」のメランション氏率いる左派連合は131議席を獲得。ただ、中道左派の社会党との連合は「野合」と指摘され、左派連合はすでに内部対立が表面化している。 一方、右派・国民連合(RN)は5年前の下院選挙と比べ、10倍以上の89議席を獲得し、第3党に躍り出た。RNのマリーヌ・ルペン氏は、党首を辞して議会に集中する意向を表明。左派連合の分裂が予想される中、RNは発言力を増すことが予想されている。 マクロン氏は連立政権が難しい場合は、政策ごとに協力政党と多数派を形成して法案を通すしかないが、その相手は今のところ極めて限定的だ。
EU拡大に強い意志 露のウクライナ侵攻 23日からEU首脳会議
ロシアのウクライナ軍事侵攻が長期化する中、欧州は東西冷戦後の安全保障体制の見直しを迫られている。ウクライナの欧州連合(EU)加盟、NATOの欧州戦略見直し、エネルギーや食の安全保障の大幅な路線変更の検討に入った欧州は、自由主義陣営の立て直しに本腰を入れている。
食料分配所に長い列 オーストリアから
食料無料分配所に連日早朝から、多くの人々が長い列をつくる。戦時の風景ではない。オーストリアの首都ウィーンでの平時のことだ。慈善団体が、物価高で生活食料品を買えない低所得者や移民たちに食料を配っている。最近はウクライナの避難民も、その列に加わってきた。オーストリア政府から支給される難民支援金だけでは十分ではないからだ。
仏下院選 与党過半数に届かず
フランス国民議会(下院、577議席)決選投票が19日、行われ、マクロン大統領率いる中道の与党連合は過半数に届かなかった。一方、右派・国民連合(RN)は89議席を獲得し、歴史的躍進となった。左派陣営も議席を伸ばしており、4月に再選されたマクロン政権の2期目は、厳しい政権運営を迫られることになる。
フォークランド紛争40年 尖閣諸島防衛への教訓
今年は英国とアルゼンチンによる1982年のフォークランド紛争から40年に当たる。中国に脅かされる沖縄県・尖閣諸島の防衛を考える上で、同紛争から学ぶべき教訓は多い。サッチャー元英首相の外交政策研究員を務めた経歴を持つ米有力シンクタンク、ヘリテージ財団のナイル・ガーディナー氏に、領土防衛で政治指導者に求められる要素を聞いた。
仏独伊首脳がキーウ訪問 EU加盟と武器供与の支援表明
ウクライナの首都キーウを訪問した仏独伊の欧州連合(EU)主要3カ国首脳は16日、訪問先での記者会見で、ウクライナが強く希望しているEU加盟の候補国として承認することを支持すると表明した。仏メディアをはじめ、欧州のメディアが一斉に伝えた。また3カ国首脳は、ロシアの侵攻で苦戦するウクライナに対して武器供与などを確約した。
今後10年で核兵器増加を予測
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は13日、年次報告書を発表し、冷戦後続いてきた核軍縮の動向が減速し、今後10年間で核保有国の核弾頭数が増加する可能性が高まったとの見通しを示した。核弾頭数は今年1月段階で1万2705発で、前年比375発減だったが、ロシアのウクライナ軍事侵攻などから核保有国が今後、核弾頭を増加しながら核兵器の近代化を加速すると予測している。
露正教会 侵攻めぐり大揺れ
ロシア軍のウクライナ侵攻を主導するプーチン大統領を一貫して支持してきたロシア正教会最高指導者、モスクワ総主教キリル1世(75)に対して正教会内外から批判の声が高まっている。ここ半月余りで2件の大きな出来事がロシア正教会を直撃。モスクワ総主教府管轄のウクライナ正教会がモスクワから離脱宣言し、総主教府の実質ナンバー2が解任された。
ロシアは「地政学的にすでに敗北」 重鎮の退役大将が警告
ウクライナに侵攻したロシア軍は同国東部に兵力を集中し、徐々に支配地域を広げつつあるものの、南部などでは守勢に立たされている。一方でウクライナ軍は米国などの武器供与を受け巻き返しを進めており、戦闘は長期化する流れだ。このような中、ロシアは「地政学的にすでに敗北した」とする「全ロシア将校協会」会長のイワショフ退役大将のインタビューが注目されている。
教皇、21人の新枢機卿選出 生前退位への準備か
ローマ教皇フランシスコは5月29日、21人もの新たな枢機卿(すうききょう)を選出した。その背景には、自身の生前退位を含む次期コンクラーベ(教皇選出会)への準備があるのではないかとみられている。
アバヤで登校に議論沸騰 フランスから
最近、ワンピース型の足元まで覆ったアバヤローブと呼ばれるイスラム女性の伝統衣装で登校する女子高生が増え、黙認すべきかどうかで議論が沸騰している。アバヤは比較的ファッショナブルな衣装で、イスラム女性のスカーフ(ヒジャブ)と組み合わせるのが一般的だ。
【フランス美術事情】ウクライナ ロシア侵攻で美術品を避難
世界中に残る芸術作品を含む歴史遺産は、歴史の記憶をとどめる役割も担っている。しかし、芸術はそもそも権力者崇拝のためのプロパガンダに使われたこともあり、中にはそれを破壊し、都合の悪い歴史を書き換えようという権力者や専制主義国家もある。



