
【パリ安倍雅信】ロシアへの本格的な反転攻勢を控えるウクライナのゼレンスキー大統領は14日、フランスのパリを訪れ、マクロン大統領の出迎えを受けた。ローマ、ベルリンを歴訪した同大統領は追加の軍事装備支援を獲得し、パリでもマクロン氏からの支援の確約を得た。ただ、欧州連合(EU)主要3カ国は戦闘機の供与を保留とした。
フランスのマクロン大統領は14日、ゼレンスキー氏との首脳会談後の記者会見で軽装甲車両の分野で新たな供与を発表。夕食会の最後の共同宣言では「今後数週間で、フランスはAMX-10 RCを含む数十台の装甲車両と軽戦車を訓練し、ウクライナの数個大隊に装備する」と明らかにした。一方、戦闘機供与は依然として時期尚早との判断だった。
フランスは2023年の初めに、偵察任務で頻繁に使用される「AMX-10 RC」をウクライナに譲渡することを約束していた。これらの車両の何台かは、初春からすでにウクライナの戦場に存在している。
ゼレンスキー氏は13日にイタリア、14日にドイツを訪れ、それぞれメローニ伊首相、ショルツ独首相と会談した。今回の欧州各国歴訪の目的はロシアへの本格的な反転攻勢を前に欧州からの軍事装備追加の確約を引き出し、ロシアのプーチン大統領に圧力をかけるためとみられている。
ドイツ訪問はロシアの軍事侵攻後、初めてであり、ドイツが武器供与を渋った際にはゼレンスキー氏がショルツ独首相を批判した経緯もあったが、今回の会談では良好な関係を見せた。ショルツ氏は「われわれは必要な限り支援する」と断言し、軍備を含むベルリンのこれまでの拠出額が170億ユーロに達し、米国に次ぐ規模で貢献していると強調した。



