【パリ安倍雅信】欧州委員会は16日、ウクライナからの安価な農産物が自国の農業に損害を与えるとしてポーランドとハンガリーが輸入禁止措置を取ったことを「容認できない」と批判した。2カ国が禁止したのは穀物、野菜、果物、乳製品、砂糖、肉類で6カ月間、輸入禁止措置は有効としている。欧州委員会は貿易政策を決定するのは「個々の加盟国次第ではない」と述べた。
ロシアがウクライナに侵攻して以来、ウクライナの港が封鎖され、ヒマワリ、小麦、大麦、トウモロコシの世界的主要輸出国ウクライナは昨年、国連とトルコが仲介したロシアとの協定で黒海経由での輸出を再開した。だが、ロシアの妨害行為で紛争前の規模には戻っていない。その間、穀物や他の農産物が中央ヨーロッパに流出し、地元農業従事者を圧迫している。
欧州委員会の広報担当者は「このような困難な時期においては、欧州連合(EU)内で全て貿易政策を調整し、決定することが重要」との声明を出した。ポーランドとハンガリーは15日に輸入制限の措置を発表した。同決定は、安価なウクライナ産の穀物をはじめとする農産物が市場に大量に流入し、自国の地元農家から苦情が寄せられたためだと説明している。
ポーランド政府は16日、禁止対象はポーランドに流入したものだけでなく、輸送中の作物にも適用されると説明した。結果的にポーランドを通過して他のEU諸国に運ばれる農産物もストップされるという。同問題でウクライナ側は、この決定は2国間貿易協定に反すると非難しており、ポーランド当局者はウクライナとの協議を求めている。



