国防7年計画法案4割増額  フランス ウクライナ侵攻を受け

防衛力不足を露呈

【パリ安倍雅信】フランス政府は4日の閣議で、2024~30年の国防計画法案を承認、7年間で総額4130億ユーロ(約60兆円)を計上した。25年までの前期計画に比べ4割増額された。政府はロシアのウクライナ侵攻によって、フランスの国防力の不足が露呈したことを挙げ、増額に理解を求めた。

ルコルニュ仏国防相は4日、「陸海空いずれもわが国の防衛力は不十分な状態だ」と指摘、増額について「多過ぎることはない」と主張した。

政府の年金改革で30年までに生み出される120憶ユーロ(約1兆7000億円)に比較してどう思うかという質問には、「国内総生産(GDP)に占める社会保障予算の割合に比べれば、国防費の1・9%は大した額ではない」と述べた。

法案は、軍の近代化に加え、無人機(ドローン)調達、砲弾増強などに重点が置かれ、砲弾備蓄に160億ユーロを充てた。ロシアのウクライナ侵攻で核兵器の脅威が高まったと指摘し、高度な紛争に備える必要性を明記した。

一方、インド太平洋についても「中国の軍事近代化で、戦略的不安の危険が懸念される」との認識を示し、ニューカレドニアなど海外領土の防衛にも130億ユーロを盛り込んだ。法案は7月の成立を目指す。ルコルニュ氏は「フランスが新たな脅威に立ち向かい、世界の大国の地位を維持する」ことが重要だと訴えた。