模写と思っていた絵1億円 フランス ブリューゲル2世「村の弁護士」

【パリ安倍雅信】フランスで昨年10月、持ち主が模写と信じて所有していたフランドルの画家、ピーテル・ブリューゲル2世の作品が28日、オークションで78万ユーロ(約1億1151万円)で落札された。「村の弁護士」または「什(じゅう)分の一の支払い」と題された横幅2㍍に及ぶ大作は、100年間、ある家族が模写作品と信じて所有していた。

フランス中部アンボワーズの競売人、リュサック氏は昨年10月、経済的に困窮する城を所有する家族の依頼を受け、仏北部の田舎の城を訪れ、棚卸しの目録を作成していた。居間のドアの後ろで目撃したブリューゲルの大きな作品を見た途端、リュサック氏は本物だと確信したという。持ち主は1900年初頭から代々受け継いてきたこの絵は模写と伝えられていたという。

ブリューゲルの専門家であるクラウス・エルツ博士の鑑定により、1615年から16年に描かれたオリジナルで、スペイン占領下で徴税人に納税を迫られ、苦悩する農民の姿を描いた「村の弁護士」と題するブリューゲルの作品と認定された。弱者を搾取する公証人への批判的風刺画とされる。