後継首相選びに財務相ら候補3人 英スコットランド

15日、英北部エディンバラで記者会見するスコットランド自治政府のスタージョン首相(AFP時事)

【パリ安倍雅信】英スコットランドの首相だったニコラ・スタージョン氏が任期半ばで辞任を表明したことから、後任を決めるスコットランド国民党(SNP)の党首選挙が3人の候補者によって争われている。英国からの独立を政治目標としていたスタージョン氏の後任は、英政府にも大きな影響を与えそうだ。

敬虔(けいけん)なキリスト教徒で現在、財務相のフォーブス氏は、20日に立候補を正式に表明した。さらにスタージョン氏に近いSNP所属のユーサフ保健相も出馬表明している。一方、有力候補として名前が挙がっていたスウィニー副首相とロバートソン元SNP副党首は、出馬を否定している。

現時点ではフォーブス氏とユーサフ氏に対抗するのは、スコットランドの地域安全担当閣外相を務めていたアッシュ・リーガン氏。16歳の未成年者が診断書を必要とせずに自己識別できるようにするトランスジェンダー改革法案に対して、「女性や少女を危険にさらすようなものには決して投票しない」と主張し、明確な反対票を投じる意志を示し出馬表明している。

3候補ともに、スコットランドが直面する独立、ジェンダー法改革、現在の公共セクターのストライキに対処することになる。SNP内ではリーガン氏を歓迎する動きもある一方、スタージョン氏が辞任表明で述べた党内の分裂を後任者は解決する必要がある。

ユーサフ氏はスコットランド独立に関する2回目の国民投票を達成するための完全な計画を持っている。ユーサフ氏は「独立への支持を拡大し、政策について話すという基本に戻ることを支持する」と主張している。

一方、有力視されるフォーブス氏は、2019年にジェンダー認識法を改革する計画を急がないように指導部に促す書簡に署名した15人のSNP議員の一人。書簡では「性別を性自認と混同することは、幅広い政策とサービスの提供に影響を与える」と警告した。福音派キリスト教徒であるフォーブス氏はカトリック教徒の多いスコットランドでは反発もある。強みは財務相として経済政策に強いことだ。

SNPはスタージョン氏が辞任表明した翌日の6日、6週間以内の党首選を発表、候補者届け出は24日までで、投票は3月中旬になる予定だ。