ドイツに初のガス供給 フランス

電力は供給受ける

【パリ安倍雅信】フランスは13日、ドイツに初めてガスの直接供給を行った。仏エネルギー大手エナジーズの子会社GRTガスは、31ギガワット時(GWh)のガスを毎日、独仏国境のパイプライン経由で供給すると発表した。

フランスには現在、ダンケルク港、モントワール・ド・ブルターニュ港、フォス・シュル・メール港に計四つの液化天然ガス(LNG)のターミナルがある。ドイツは長年、ロシアからのパイプラインによるガス供給に頼ってきたため、LNGターミナルはいまだ建設中。今回のフランスからのガス供給量は、ドイツにとっては1日に必要なガスの2%に満たないが、両国の協力は象徴的意味を持つ。

ドイツは2014年に始まったウクライナ危機を受け、エネルギー供給の多角化に取り組んできた。16年にはダンケルク港にLNGターミナルを完成させ、フランス経由のガス供給をロシアの代替にする方向にあった。

9月に結ばれたエネルギー連帯契約で、フランスはドイツにガス供給する一方、フランスはドイツから電力供給を受けることで合意している。フランスは、ガスのほとんどをノルウェーからのLNGで賄い、ロシア産ガスの影響は受けていない。さらにフランスは暖房の電化が進んでいるが、ドイツはガスに頼っており、ドイツのガス不足は深刻だ。

ただ、原子力発電ゼロを目指すドイツは不足分を補うため石炭発電を復活させており、フランス国内には温暖化ガスを大量に排出する石炭発電でできた電力のフランスへの供給を批判する声もある。