アバヤで登校に議論沸騰 フランスから

最近、ワンピース型の足元まで覆ったアバヤローブと呼ばれるイスラム女性の伝統衣装で登校する女子高生が増え、黙認すべきかどうかで議論が沸騰している。アバヤは比較的ファッショナブルな衣装で、イスラム女性のスカーフ(ヒジャブ)と組み合わせるのが一般的だ。

4月の大統領選で決選投票を戦った右派・国民連合のマリーヌ・ルペン氏は「イスラム教徒の挑戦であり、政治的意図を感じる」と批判した。実際、公立学校では、イスラム教徒の衣服で登校する生徒への対処に苦慮している。

フランスでは2004年に公立学校でのヒジャブ着用を禁止する法律ができ、11年4月には、公共の場で顔を覆うものを着用することを禁止する法律が施行された。宗教の印となる服装や飾りを身に着けることを禁じたものだが、イスラム教徒が対象であることは明白だ。

それから10年、今では公共の場である学校、公道、駅や空港、図書館内でヒジャブ着用の女性を日常的に見掛ける。政教分離の原則から施行された法律は骨抜きになっており、マクロン氏は大統領選で、「ヒジャブ姿の女性は好きだ」とまで言った。

フランスでは近年、夏になるとビーチにはブルキニ(全身を覆う水着)姿の女性が見掛けられ、利用者の間で苦情が出ている。政教分離の原則で生まれた法律に触れているというわけだ。この勢いだと法律は意味をなさなくなる可能性が高いが、心の底から受け入れてはいないと多くのフランス人は顔をしかめている。(A)