対露制裁で追加5項目首相発表 

ロシア産石炭輸入禁止 最大手銀行の資産凍結

対ロシア追加制裁の記者会見に臨む岸田文雄首相=8日午後、首相官邸

田文雄首相は8日、首相官邸で記者会見し、ロシアによる侵攻が続くウクライナで民間人の遺体が多数見つかったことを受け、石炭の輸入禁止など5項目の追加経済制裁を発表した。ロシアの基幹産業であるエネルギー分野で制裁に踏み込んだのは初めて。最大手銀行ズベルバンクの資産凍結などを新たに打ち出した。

首相は会見で「断じて許されない戦争犯罪だ。非道な行為の責任を厳しく問うていかなくてはならない」と強く非難した。

追加制裁はエネルギー分野のほかに、①機械類、一部木材、ウオッカなどの輸入禁止を来週にも実施②ロシアへの新規投資禁止③ズベルバンクや最大の民間銀行アルファバンクへの資産凍結④資産凍結対象に、400人近いロシアの軍関係者や議員、約20の軍事関連団体を新たに追加-の4項目。

先進7カ国(G7)がエネルギー制裁で合意したことを踏まえ、首相は「ロシアからの石炭輸入を禁止する。段階的に輸入を削減する」と述べ、輸入量を段階的に減らし、最終的に全廃する方針を示した。いつまでに輸入を止めるかは言及しなかった。首相は石油や天然ガスも含め「エネルギー全体のロシア産依存度の低減に踏み込む」と強調した。

石炭輸入量に占めるロシア産の割合は11%に上る。首相は輸入禁止が国民生活に及ぼす影響に関し、「夏や冬の電力需給逼迫(ひっぱく)を回避するため、再生可能エネルギーや原子力などの活用を図っていく」と述べた。