左派勝てば台湾断交も きょう大統領選挙―パラグアイ

【サンパウロ綾村悟】南米パラグアイで30日、現職の中道右派ベニテス大統領の任期満了に伴う大統領選挙が実施される。選挙は、10人近くが立候補する乱戦となっているが、実質的に中道右派の与党コロラド党のサンティアゴ・ペニャ元財務相(44)と、中道・中道左派の野党連合から出馬するエフライン・アレグレ元公共事業・通信相(60)の2人による一騎打ちとなっている。就任式は8月15日で任期は5年、再選は禁止されている。 今回の選挙で内外から大きな注目を集めているのが、台湾との外交関係の行方だ。パラグアイは南米で唯一、台湾と外交関係を維持しており、台湾との協力関係は農業や水産、エネルギー分野など多岐にわたる。

野党連合のアレグレ氏は今年1月、ロイター通信とのインタビューで、「台湾との外交関係がパラグアイに十分な見返りを与えているとは思えない」などと発言し、当選すれば台湾と断行して中国と外交関係を持つ可能性を示唆した。与党候補のペニャ氏は、台湾との外交関係維持を主張している。

現在、中国は、台湾と外交関係を持つ国の切り崩しを図っている。蔡英文政権が2016年に誕生した際には、台湾と外交関係を持つ国は22あったが、大規模な支援を約束する中国の「小切手外交」により、13カ国にまで減っている。今年3月には、中米ニカラグアが台湾との断交を発表したばかりだ。

大統領選挙は、与党のペニャ候補が先行する形で始まったが、米国が1月、カルテス前大統領を含む与党関係者を制裁対象としたことが有権者離れにつながり、野党連合のアレグレ氏が激しく追い上げている。最新の世論調査では、アレグレ氏が支持率で僅差ながら上回る場面も出ており、激戦となっている。