議会襲撃事件で1500人を拘束 ブラジル

政府当局、沈静化を強調

9日、ブラジルの首都ブラジリアの大統領府で、壊れた窓ガラスを撤去する作業員(AFP時事)

【サンパウロ綾村悟】ブラジルのボルソナロ前大統領の支持者ら数千人が、首都ブラジリアの連邦議会や大統領府、最高裁を襲撃した事件で、警察当局は9日までに約1500人の身柄を拘束したと発表した。ブラジルのポータルメディア「G1」などが報じた。

ブラジルのジノ法務・公安相は同日、「政府機関は速やかに正常化に向かっている」と述べ、事態の沈静化を強調。また、「クーデター参加者やテロリストの試みは成功しない」と訴え、引き続きボルソナロ氏の支持者による騒乱を警戒した。

一方、国軍は同日、ブラジリアの軍司令部前や市中心部にあったボルソナロ氏の支持者らの活動拠点の撤去を行った。ボルソナロ氏の支持者らは、国内各地の軍司令部前にも活動拠点を持っているが、各地の裁判所がそれぞれ撤去命令を出し始めている。

ルラ大統領と最高裁長官、上下院議長の三権の長は、連名で「テロを否定する」コメントを発信。ルラ氏は資金提供者などを含めて襲撃事件に関わった全ての人物を特定して罰を与えると強調した。事件のあった建物では、破壊されたガラスなどが散乱し、職員らが片付けの作業に追われた。

一方、米国のフロリダ州に滞在しているボルソナロ氏は9日、腸閉塞の症状が出て現地の病院に入院した。ミシェル夫人がインスタグラムで明らかにした。症状は深刻ではないという。ボルソナロ氏は8日、襲撃事件を批判し、平和的なデモを行うように支持者らに呼び掛けていた。