ギャング掃討に1万人  エルサルバドルで兵士動員

3日、エルサルバドル。ソヤパンゴで、ギャングの捜索作戦中に男性の身元を確認する兵士=エルサルバドル大統領府提供(AFP時事)

【サンパウロ綾村悟】中米エルサルバドルのブケレ大統領は3日、ギャング掃討作戦として、国軍兵士ら1万人を動員し、ソヤパンゴ市(人口約29万人)を包囲した。エルサルバドルでは、ギャングによる凶悪犯罪の増加が問題となっており、ブケレ大統領は今年3月、非常事態宣言を出してギャング掃討の動きを強めていた。

ソヤパンゴは、首都サンサルバドルの衛星都市だが、ギャングの拠点として知られている。ブケレ大統領が動員したのは、国軍兵士8500人と警官1500人の1万人。ソヤパンゴ市の幹線道路などを完全に封鎖し、徹底した検問と市内全ての家屋を訪問しながら、ギャング組織の構成員を逮捕しているという。

ブケレ氏は、「ギャング掃討が目的で一般市民は何も恐れる必要はない」と強調している。公約の一つとして、治安強化を掲げてきたブケレ氏だが、厳しい取り締まりの中で、ギャングと関係のない一般市民が拘束されているとの批判も出ており、人権団体などが懸念を表明している。非常事態宣言後、ギャング構成員ら約5万8千人が拘束された。