最後の公開討論で非難合戦―ブラジル大統領選挙

きょう決選投票

【サンパウロ綾村悟】ブラジルのリオデジャネイロで28日、30日に実施される大統領選決選投票を前に、保守ボルソナロ大統領(67)と左派ルラ元大統領(77)による最後の公開討論が行われた。

討論会は、お互いを「嘘(うそ)つき」と呼び合うなど非難合戦に終止した。ルラ氏が、ボルソナロ氏は最低賃金を上げてこなかったと批判すると、ボルソナロ氏は「来年大幅に上げる予定だ」と反論、ルラ政権下で大規模な政界汚職が行われたと非難した。

アナリストらによる討論会の評価は、ボルソナロ氏とルラ氏をめぐって分かれた。数百万人の有権者が投票先を決めかねているとされている中で注目が集まっていたが、現地メディアは、討論会の明確な勝者はないとの見方を示している。

一方、ボルソナロ氏は、討論会の中で、「フェイクニュース」に対する選挙裁判所の判断などを含めて、「選挙システムそのものが、不利に働いている」と主張した。ボルソナロ氏に対しては、以前から大統領選挙での敗北を認めない可能性が懸念されていた。

討論会後に記者団がボルソナロ氏に対して「敗北した場合受け入れるか」と問いただしたところ、同氏は「より多くの票を集めた方が勝者となる。それが民主主義だ」と応じた。

最新の世論調査では、依然としてルラ氏がボルソナロ氏を支持率でリードしているが、第1回投票で多くの世論調査の結果に反してボルソナロ氏が躍進したこともあり、どちらが当選してもおかしくないとみる識者は少なくない。

南米が左傾化する中で、保守と革新が激突するブラジル大統領選挙は、海外でも注目を集めている。トランプ元米大統領は28日、自身のSNSで動画を公開、「ボルソナロ氏に投票してほしい」「急進左派のルラ元大統領はブラジルを破壊する」などとブラジルの有権者に呼び掛けた。