決選投票に向け公開討論 中傷合戦に ブラジル大統領選挙

【サンパウロ綾村悟】ブラジルのサンパウロで16日、大統領選挙の決選投票で対決する現職の右派ボルソナロ大統領(67)と、左派ルラ元大統領(76)の2候補による公開討論が実施された。決選投票は30日に実施される。

2時間に及んだ討論会は、ほとんどがお互いの政策などを批判する中傷合戦となった。

ルラ氏は、ボルソナロ氏を「フェイクニュースの王様だ」と非難すると同時に、ボルソナロ政権の新型コロナ対策を批判、「ワクチン購入などの対策が遅れなければ、68万人ものブラジル人が死ぬ必要はなかった。死者は半数に抑えられた」などと主張した。

一方、ボルソナロ氏は、ルラ氏が所属する左派・労働党が政権を握っていた2003年からの14年間で、ブラジル史上最悪と言われる汚職スキャンダルが発生したと追及。石油公社を巻き込んだ汚職事件では、経済界や政界から多数の逮捕者が出ただけでなく、ルラ氏自身も汚職疑惑で実刑判決を受けて収監されていた。

ボルソナロ氏は、「あなたが大統領として国に尽くしたことは何もない。お金を自分や友人の財布にばら撒(ま)いただけだ」と非難した。

決選投票は、接戦が予想されており、最新の世論調査では、ルラ氏の支持率51・1%に対して、ボルソナロ氏は46・5%だった。