アマゾン熱帯雨林消失量が過去最高 大統領選でも争点に

【サンパウロ綾村悟】ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は7日、先月1カ月間のアマゾン熱帯雨林の消失量が過去最高を記録したと発表した。INPEが人工衛星を利用したアマゾン熱帯雨林の調査を開始した2015年以降で最大の消失量だという。

報告によると、9月の1カ月間で前年同月比で48%増の1455平方㌔㍍もの森林が消失した。東京23区の面積(622平方㌔㍍)の2倍以上に相当する。

森林消失の主な原因は、違法伐採と開墾などを目的とした野焼きによる森林火災だ。また、ウクライナ戦争による世界的な食糧高騰も農場や牧場の違法開発に拍車を掛けている。ブラジルの農産品の最大輸出国は中国だ。

アマゾン熱帯雨林の保護は、大統領選挙でも争点となっており、ルラ元大統領は、熱帯雨林内での金鉱山の違法採掘阻止や先住民保護を強化することを公約としている。ただし、過去最大のアマゾン熱帯雨林消失は、ルラ政権下の2004年に発生しており、ルラ氏自身も持続的開発は必要だと認めている。経済成長への期待がかかる中でどこまでの対応が可能かは未知数だ。膨大な量の二酸化炭素を吸収し、気候変動抑制に欠かせないアマゾン熱帯雨林は、すでに「サバンナ化」への転換点を迎えつつあると指摘する専門家も出ており、ブラジルの大統領選挙は、アマゾン保護の観点からも内外の関心を集めている。