【サンパウロ綾村悟】中米エルサルバドルのブケレ大統領(41)は15日、独立記念日の演説で、2024年の大統領選挙に再選を目指して出馬することを明言した。同国の憲法では連続再選は禁止されているが、大統領寄りの判事で占められた最高裁が昨年9月、出馬を認める判断を下していた。
ブケレ大統領は、組織犯罪に対する治安対策などで国民からの支持を集めており、再選は確実視されている。任期は5年。
ブケレ氏は昨年9月、同氏に批判的だった最高裁判事を解任するなど、強権化を進めている。再選出馬は、欧米など国際社会から批判を集める可能性が高いが、ブケレ氏は「先進国で再選を認めている国は多い」などと強調している。
一方、同国の専門家らは、「憲法で大統領の任期は5年を1日たりとも超えてはならない」と規定されていると主張、再選は五つ以上の憲法規定に違反することになると批判している。
ブケレ氏は親米派として知られるが、同氏の再選明言に対しては、米国務省が15日、「民主主義を脅かしかねない」として懸念を表明、両国関係への悪影響を示唆した。
エルサルバドルは昨年9月、世界で初めてビットコイン(仮想通貨)を法定通貨に採用した。採用当時は、壮大な社会実験として注目を集めたが、採用後にビットコインは暴落、同通貨の価値は半分以下となっており、エルサルバドルの信用格付けは「デフォルト(債務不履行)」の一歩手前まで引き下げられている。



