
本格的な夏を迎えたフィリピンでは、エルニーニョ現象の影響で一段と暑い日々が続いている。多くの公立学校にはエアコンがないため熱中症になる生徒も相次いでいる。
マニラ首都圏のパサイ市では、これまでに少なくとも500人の生徒と100人の教師が授業中に頭痛や鼻血などの症状を訴え病院に運ばれる事態となっている。
フィリピンの公立学校の校舎は粗末なものが多い。基本的にエアコンはなく扇風機も不十分なことが多く、風通しが悪かったりすると教室はまさに灼熱(しゃくねつ)地獄と化すのだ。
このような状況を受け教育省は、各学校の校長に生徒の健康状態が悪化するような暑さの場合、授業を中止する権限を与えると発表した。すでに複数の学校が半日授業を導入したり、オンラインによる在宅授業に切り替えたりしている。
そもそもこの一番暑い時期の学校は夏休みの期間だった。しかしコロナ禍に伴うロックダウンで遅れてしまった授業を取り戻すために夏休みを短縮。さらに新学期の開始時期を遅らせる措置を取った結果、最も暑い時期に授業を続ける結果となってしまったのだ。
教師グループからは暑くて授業に集中できない生徒が多いとして、以前の学期スケジュールに戻すよう教育省に要請が上がっている。
南国の人々だからといって暑さに強いわけではない。ただ暑いときには無理せず休むという生活の知恵が行きわたっているだけなのだ。



