【上昇気流】(2023年5月7日)

渋谷

昨日は「立夏」。暦の上では早くも夏となった。空に向かって伸びる若葉が目立ち、まぶしい季節だ。ゴールデンウイークで日本列島各地が観光客でにぎわった。

地元の人は、その地域にある有名な施設や観光地へ行かないことが多い。珍しい場所に行くのが観光だとすれば、日常の中にある所を改めて訪れる気がしないのは当然である。

連休中の1日、知人と久しぶりに東京の渋谷で会った。地方から訪れた若者でにぎわい、行列ができてスマートフォンで検索している姿などがあふれていた。どこも人波が途切れないほど。渋谷の街は、気流子は仕事関係で通っていたので、よく知っていたはずなのだが、今では戸惑うことの方が多い。特に、再開発中の駅前付近の様変わりが大きい。

古典で有名な鴨長明の『方丈記』の冒頭文「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず」を思い出した。地震や災害、戦乱などで混乱し、大きな家が小さくなったりと人の世の盛衰もあって、無常を感じたことが『方丈記』の執筆の動機となっている。渋谷もそんな変わり目を迎えているのだろう。

困ったのは、休憩する喫茶店の場所探し。かつてあった店が見当たらず、しばらくあちこちをうろうろすることになった。

知人とは、昔の友人の音信などを語り合った。高齢者になると過去のことや病気のことなどを話すというが、まさにその通り。平凡だが、「光陰矢の如(ごと)し」を改めて実感する。