
富山県高岡市の観光マップを開くと、「高岡大仏」が紹介されている。そこには「日本三大大仏」の文字が躍る。「奈良と鎌倉の大仏は分かるが、高岡にもそんな有名な大仏様が鎮座していたのか」。少々訝(いぶか)りながら拝観した。
JR高岡駅から徒歩5分ほどで、観光名所の高岡城址(じょうし)に近い。「大仏様」は初夏の澄んだ空に映え、堂々とした風格で佇(たたず)んでおられた。
説明書きには、伝統技術の銅器製造の粋を集め、三十年余の歳月をかけて造られ、総高15・85㍍、重量65㌧とある。街中なので他を圧する大きさだ。
歌人の与謝野晶子をして、「鎌倉大仏より美男子」と言わしめたとか。確かに端正なお顔立ちで、「日本一のイケメン大仏」と称されても納得だ。
「三大大仏」の言葉に引っ掛かり、近畿日本ツーリストで検索すると、先の二つの大仏は出ているが、第三の大仏は明確には定まっていないとある。現在、候補が二つあって、神戸市の「兵庫大仏」と岐阜市の「岐阜大仏」とか。残念ながら、高岡大仏の名はどこにもない。
そこで、市の観光課に問い合わせたが、明確な説明はない。観光客を呼び込む方便に使われているようだった。
高岡に限らず、全国の観光案内で「日本三大○○」の言葉を見掛けるが、これが常套(じょうとう)手段のようだ。
言葉にあまり目くじらを立てず、単純に観光地として楽しんだ方がよさそうだ。
(仁)



