【上昇気流】(2023年4月28日)

若者たちで賑(にぎ)わう東京・渋谷の繁華街の道路を、荷台を派手なデザインの広告板にした大型トラックが、大音量を流しながらゆっくりと進んで行く。何だろうと見ると、キャバクラ嬢募集の広告だった。そんな光景に出くわした人は少なくないだろう。

こういうのを広告宣伝車とか広告トラックと呼ぶらしい。いつも不快に感じながら、なぜこんなものを放置しているのかと常々思っていた。実際に東京都などには苦情が寄せられていた。

この広告トラックのデザイン規制に向け、東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県知事と5政令市長がウェブ会議を開いて、共同で検討会を設置することを決めた。東京都の小池百合子知事の発議によるものだ。

広告トラックを含む屋外広告物は、各自治体の条例に基づいて規制されている。しかし、派手な広告トラックでも他県ナンバーのものは規制できない。広域で規制に取り組まねば効果が上がらない。

新型コロナウイルス禍が下火となり、訪日客も徐々に増えてきたが、あれは何かと聞かれたら、恥ずかしくて答えられない。繊細なはずの日本人が、なぜあんな騒音や景観を乱す車を放置するのか首をかしげるだろう。

規制はデザインに向けられるとのことだが、そもそも交通渋滞の激しい繁華街に、宣伝のために大型トラックを走らせること自体問題だ。風俗関係以外のイベントや商品PRを目的としたものであっても、広告トラックは規制すべきである。