
NHKで放送される「ブラタモリ」は、出色の紀行・教養バラエティー番組である。2008年の初回パイロット版放送以来、放送回数は230回を超えている。訪問地も初回の「原宿(表参道)」など東京都内から全国に広がった。
タモリ氏と歩きながら、訪れた町の成り立ちや歴史を掘り起こす。回ごとの「お題」に沿いながら、登場する地域の研究者らの説明で、少しずつその秘密が明らかにされていく。
特にその土地や町の成り立ちが、地質時代にまでさかのぼって明らかにされるところが、この番組の他にはない魅力だ。
相手役のアナウンサーがあまりに何も知らない風にしているのは、ちょっとわざとらしい。
しかしタモリ氏の地学や歴史の知識やセンスは大したもので、自然に出てくるアドリブが番組を楽しいものにしている。タモリ氏とその土地を巡りながら、地学、地理、歴史などについて多くを学んだと思うことが多い。
3月18日放送の「佐賀~佐賀の発展は“水”にあり?~」などは、その典型と言っていいものだった。
幕末明治維新で「薩長土肥」の一画を占めた佐賀藩が、なぜ軍事技術先進藩となったかが、佐賀平野の地学的な成り立ちから説明され、なるほどそうだったのかと感心させられた。
この人気番組も今年で打ち切りとのうわさもあるが、過去の放送を振り返ってみる価値のある番組だ。
(晋)



