
NHKBS「にっぽん百名山」で、スペシャル「バディー登山」を見た。バディーは相棒の意味で、山を友と楽しむというもの。新潟県の妙高山、長崎県対馬の白嶽、そして長野県の北穂「滝谷」が紹介された。
三つの山行のうち、相棒なしに登ることができないのが滝谷。ザイルパートナーが必要な岩壁で、出演はクライマーの青木達哉さんと三戸呂拓也さん。ヒマラヤへの再挑戦を目指してのリハビリ登山だ。
昨年6月の収録で、前穂、奥穂、北穂に囲まれた涸沢は雪に埋もれていた。1日目、麓から涸沢を通過して北穂小屋へ。2日目、降雪があり、うっすらと積もっていて、目的のドームは雲の中。
そのドームを北穂から捉えて示す。天候が良くなると出発して、ドーム北壁のチムニー(割れ目)から始まるルートに取りついた。ところで滝谷は、多くの日本人クライマーを育て、世界へと送り出してきた岩壁。
三戸呂さんは明治大学山岳部、青木さんは東海大学山岳部の出身だから、学生時代から親しんできたのであろう。撮影スタッフは滝谷にはついて行けず、彼ら自身が自分たちの姿を撮影していく。
ここを舞台にしたもう一つの映像の傑作『雪の滝谷―凍てつく壁へ』は2014年3月、竹内洋岳(ひろたか)さんをプロデューサーに、ラナコスタによって制作された。花谷泰広さんと今井健司さんがドーム中央稜を登攀(とうはん)。滝谷は井上靖の小説『氷壁』にも登場する、クライマーの間で最も名高い山だ。



