
中国大陸から飛来した黄砂が、東京でも2年ぶりに観測された。洗濯物に付着するのも困るが、環境省は鼻水などのアレルギー症状、気管支ぜんそくや肺炎など呼吸器疾患との関連を挙げ、特に子供と高齢者への影響が大きいと注意を促している。
中国外務省の報道官は「中国の砂漠化対策は顕著な効果を挙げており、20世紀末に比べれば明らかに黄砂は減っている」と発表。中国のネット上では、モンゴルで草原の砂漠化が進んでいることに原因があるという投稿が多いようだ。
一方、草原の砂漠化は、中国当局が進めた遊牧民の定住化政策がそもそもの原因だという指摘もある。
地球温暖化や過放牧の影響でモンゴルでは草原の劣化・砂漠化が進んでいる。羊より収益の高いカシミヤウールを採るためにカシミヤヤギの放牧が増えた。ヤギは羊と違って草の根まで食べてしまうので、植物が再生できないくらい損傷を受けるのだ。
それ以上に砂漠化を促進しているのが、温暖化による永久凍土の融解だ。国立環境研究所のホームページ掲載の報告によると、モンゴルは国土の63%を永久凍土が占めている。永久凍土が地表から1~2㍍の深さにあれば、その上に雨水が溜(た)まり地表の植物に水分が補給されやすい。
しかし融解によって減少したり深くなったりすると、水分の補給ができず、砂漠化が進むという。そして砂漠化が温暖化に拍車を掛ける。黄砂の原因にもっと目を向ける必要がありそうだ。



