ごみ山積みでも強気のパリ フランスから

今、パリを観光で訪れる人々は、町中に山積みされたごみの山と悪臭に遭遇する。政府の年金改革への反対派がごみ収集を不可能にしているからだ。この状況はフランス全土に広がる。これで、テニスの全仏オープン、カンヌ映画祭、自転車のロードレース、ツール・ド・フランスと続く国際イベントは大丈夫なのか。9月にはラグビーのワールドカップ、来年夏にはパリ五輪が開催される。

パリで路上に山積みになったごみは推定1万㌧に達するという。パリに生息するとされる約500万匹のネズミが廃棄された食べ物の匂いを嗅ぎつけ、地下に張り巡らされた排水溝から地上に現れ、路上を走り回る事態になっている。

中には美容院、レストラン、土産品店の入り口から堂々と入ってくるネズミもいるほどで、世界最大といわれる観光都市パリは、ごみとネズミに占領されている。

ハネムーンに来る外国人観光客は、パリの美しい景観を背景に写真を撮っても、必ずごみの山が写り込む。にもかかわらず、パリ市当局は強気だ。

パリ観光局の担当者は「年金改革の抗議デモが始まった1月中旬から今日に至るまでパリを訪れる観光客はまったく減る様子はない」「あのイタリアのミラノがごみに埋もれた2年前、3カ月続いたが観光客は減らなかった」と豪語する。

テロや黄色いベスト運動の抗議デモ、コロナ、年金改革とパリは常に観光業を脅かしてきた。しかし、エッフェル塔、凱旋(がいせん)門、ルーヴル美術館など不動の観光資源を持つパリは、少々の逆境には耐性があるようだ。(A)