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今夏予定される東京電力福島第1原発で生じた処理水の海洋放出。ところが中国、ロシアは、直近の首脳会談の共同声明で「深刻な懸念」と牽制(けんせい)した。
一方、韓国は国内でかなり厳しい見方もあるようだが、来日した尹錫悦大統領は、日韓議連との会合で「国際原子力機関(IAEA)を基本とする、透明で科学的で客観的な検証を重視していきたい」と述べた。
そのIAEAは先般、処理水の海洋放出計画を巡り、原子力規制委員会の審査の妥当性を確認する2回目の検証作業を終えた。調査団のカルーソ原子力安全・核セキュリティー局調整官は「設備の使用前検査などが、国際的な安全基準に沿って適切に行われている」と評価した。
処理水の措置は当事国の日本が決めることだが、近隣諸国の理解があれば、よりスムーズにいくし風評被害も抑えられる。韓国大統領のIAEAへの言及はありがたい。
処理水放出に関して、IAEAはその途中と事後にもレビュー(評価)を行う予定にしている。その時に何らかの指摘があれば、それについて適宜対処すればいい。放出の全過程を粛々と進めていくことだ。
核物質を平和目的だけに利用していることを確認する取り組みは「保障措置」と呼ばれ、IAEAはその役を担う唯一の国際的機関だ。各国とも原子力政策の手の内を明かさない中、よく奮闘している。日本はIAEAの調査結果を前面に押し出していけば、中露の横槍(よこやり)もはね返せよう。



