空港職員に求められるプロ意識 フィリピンから

かつて世界最悪の称号で知られていたマニラ首都圏のニノイ・アキノ国際空港で、職員による不祥事が立て続けに発生し、旅行者を震撼(しんかん)させている。

先月、日本に向かうための乗り換えで同空港に立ち寄ったタイ人が、エックス線検査場で空港職員に2万円を盗まれる事件があった。職員の怪しい動きを察知した同行者が動画を撮影しており、盗んだ現金を同僚のポケットにねじ込む様子や、犯行がバレて現金を返却する際に動画を消すよう懇願する音声などがバッチリ記録されていた。

これがタイで報道されるやネットで話題となり、空港当局の知るところとなって5人の職員が解雇された。また、この約1週間後にも中国人がエックス線検査の際に置き忘れた腕時計をネコババした職員が逮捕された。

空港職員をめぐる問題は窃盗だけではない。人気Kポップグループがマニラを訪れた際に、空港のセキュリティーチェック担当の女性職員が韓国人メンバーの体を触って喜々とする様子や、撮影禁止エリアで動画を取る職員の姿などが目撃され、プロ意識の低さを非難されたばかりだった。

強権で知られるドゥテルテ前政権で汚職や犯罪が減った印象があったが、喉元過ぎればなんとやらで再び増加に転じているようだ。マルコス大統領は観光を経済復興の起爆剤として重要視しているが、旅行者からの信頼を回復するためには、職員のプロ意識を育てる対策が必要になりそうだ。(F)