
気流子が住む神奈川県のあちこちの桜も花が咲き始め、今週末が見頃かなと楽しみにしていた。しかし、天気は明日あたりから下り坂に向かい、「菜種梅雨」の様相という。土曜日以降は気温もぐっと下がる。
東京の桜の名所、上野公園では、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)でシートを敷いて飲食しながらの花見が中止されていたが、今年は4年ぶりで復活するというのに、タイミングが悪過ぎる。近年、桜の見頃にこんな天気が多いのが気になる。
今年の東京の開花は14日で、1953年に統計を取り始めて以来、2020年、21年と並び最も早かった。気象庁はその理由として、最高気温が20度を超える日が3月8日から4日間続いたことや、南からの暖かい風が吹く日が多かったことを挙げている。
さらに近年の開花の早まりは、温暖化や都市化の影響によるものではないかという。春先の天気を「三寒四温」と言うが、その寒暖差も昔はもっと緩やかだった。
雨の降り方も穏やかで、月形半平太のセリフではないが、「春雨じゃ濡(ぬ)れて行こう」というくらいのものだった。寒暖の激しさ、雨の降り方なども基本的に温暖化の影響と思われる。
「花冷え」という季語があり、久保田万太郎には「花冷え」という題の小説がある。この言葉は俳句好きの風流人が使うものと思っていたが、桜の見頃に寒い日に出くわすことが多くなると、気流子なども意識したくなる。しかし、あまり風流な気分は伴わない。



