先日、知人たちと会食した時に韓国の地図が話題になった。ある中年女性が言うには「昔、小学校で先生から『わが国を略図で描くと33と描けばいいんだ』って習った」そうだ。「33」とは何のことか聞くと、朝鮮半島の黄海沿岸を北から南まで線でなぞらえると「3」の形になり、反対側の日本海沿岸を北から南まで同じく線でなぞらえても「3」の形になる、だから「33」だと言う。少し大ざっぱだが、言われてみるとその通りだ。
韓国人の多くは今も自国の地図として朝鮮半島全体図を思い浮かべる。何も休戦ラインの北側、北朝鮮の領土まで含まれていることを特別に意識しているわけではなく、ほぼ習慣的に半島全体図が浮かぶようだ。韓国に定着した脱北者に聞いたら、北朝鮮でも「わが国の地図」といえば半島全体図を指すという。互いに休戦ラインの向こう側もいつかは自分たちの領土になる、という潜在意識があるのかもしれない。
ちなみに韓国の天気予報ではソウルを「中部地方」と呼ぶ。韓国全体から見ればソウルは「北部地方」か「北西地方」が正しいはずだが、北朝鮮まで含めた半島全体からすると確かにソウルは中間辺りに位置するから「中部」ということなのだろう。韓国では北朝鮮領を休戦ラインより北側という意味で「以北」と呼ぶことがあり、北朝鮮の亡命地方政府として「以北5道」を設け、知事も任命される。韓国人にとって北朝鮮は外国ではないのだ。(U)



