【上昇気流】(2023年3月2日)

バックカントリースキー

雪山を滑るバックカントリースキーの遭難事故が、各地で多発している。北海道では、道警によると、今シーズンの遭難者は35人(1月29日現在)で、うち外国人は13人。この5年間で251人に上る。

携帯電話大手ソフトバンクは先月、北海道ニセコ町で、ドローンを使って通信圏外の山間部を一時的に圏内化し、遭難者のスマートフォンなどの位置を特定する訓練を報道陣に公開した。

このシステムは、東京工業大学と共同で開発。上空100㍍に飛ばせば数㌔範囲を圏内にできるので、早期発見が期待できるという。ニセコにはスキー場もあり、とくに外国人に人気がある観光地。

外国人に日本の雪山が好まれる理由は、彼らが求めていた良質のパウダースノーがそこにあったからだ。今シーズンの遭難者が多くなったのは、新型コロナウイルス禍による入国規制が緩和したこともあるようだ。

ひと昔前は、バックカントリースキーという言葉は使われず、山スキーと言っていた。山スキーとは登山の道具として使うスキーのことで、目的は登山。バックカントリースキーの目的はスキーによる滑降そのものだ。

出発点が異なっている。1990年代、スキーの形状に革命的な変化が起きて回転が容易になり、深雪の中での操作も楽になって、雪山に進出。やがてブームになった。だが、そこでは雪崩など雪山の知識と登山技術が不可欠。この部分がスキーヤーらの弱点になっている。