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生命保険業界の不祥事が相変わらず目立つ。金融庁は、明治安田生命保険の女性元営業部員が契約者から計約2000万円を詐取する不祥事があったことなどを踏まえ、同社に立ち入り検査に入る方針を固めた。
生命保険協会(稲垣精二会長)は先月、生保業界で営業職員による金銭詐取が相次いだことを受け、コンプライアンス(法令順守)向上のための新たな指針を公表したばかりだ。
外資系のネット生命保険などの参入で顧客獲得競争の熾烈(しれつ)さが増す生保業界。大手各社は数年前から営業職員の増員や待遇改善を行い、人材の強化を図ろうとしているが、本気度を改めて問いたい。
顧客の金品の着服は論外だが、2005年には当の明治安田生命に1000件余、52億円に上る保険金不払いのあることが明らかになった。この時、同社の調査報告書で「(不払いは)収益拡大を目標に掲げたところから生じた」と、自らの資質に言及せず弁解に終始したのにはあきれた。
金融庁は今回、職員の管理体制や過度な節税が問題になっている節税保険の販売実態についても検査する見通しだ。
日本人は「転ばぬ先の杖(つえ)」と、生保の世帯加入率も90%近い。保険業界はこれまでその心理の上に胡坐(あぐら)をかいてきたと言えまいか。旧明治、旧安田は共に生保の名門で、04年合併時の企業ビジョンは「心のこもったコミュニケーションを大切にする会社」「確かな安心と豊かさを届ける」。初心に戻るべし。



