デング熱で学んだ早期受診の大切さ ブラジルから

先日、夜中にいきなり寒けに襲われた。翌朝には38度を超える熱が出たため、新型コロナウイルス感染を疑い、安静にすることにした。体の節々も痛くなっていたが、新型コロナに以前感染した時と似たような症状だった。

ところが、指や関節、背骨など体の至る所が痛くなり始め、2日目の夜には熱が39度まで上がり、気を失いかけた。

咳(せき)がまったく出ないことを家人が不思議に思い、急いで救急病院に行くと、医師に「デング熱の疑いが非常に濃い」と告げられ、すぐに血液検査に回された。結果はその通り、「デング熱」だった。

デング熱には特効薬や治療薬がない。そのため、痛みや発熱を抑える対症療法を行うことになるが、デング熱に詳しい医師や看護師であれば、重症化や死亡率を大きく下げることができるのだという。

入院こそ必要はなかったが、痛み止めの点滴を打ってもらった。背骨や内臓がデング熱の特徴である耐え難いほどの痛みに襲われていたのだが、点滴と同時にまるで波が引くように痛みが消えていった。

当初は新型コロナ感染を疑っていたので、消炎解熱剤のイブプロフェンを自己診断で飲んでいたのだが、デング熱では飲んではいけない薬の筆頭だと医師に言われて驚いた。デング出血熱などの重症化を引き起こしかねないというのだ。

インターネットの時代になり、特に海外に住んでいるとネット上の情報などで病気に対応することもありがちだ。しかし、専門家の診断をできる限り早く受けることの重要さを再確認した今回の出来事だった。(S)