【上昇気流】(2023年1月27日)

空き家

人口減少で増える空き家対策で、政府は今国会で「空き家対策特別措置法」を改正する方針だ。空き家の総数は20年間で1・5倍に膨らみ、うち居住目的のない空き家が約350万戸あるという。

気流子の田舎でも、実家の隣の家は10年近く空き家のままだ。ほかにも、人が住んでいなさそうな家が幾つかある。家を壊して更地になったところもある。地方ではよく見掛ける光景だ。

家も生き物だ。人が住まないと、どんどん傷んでいく。湿気に弱い木造住宅は特にそうだ。放置すれば老朽化で倒壊の恐れがあるばかりでなく、防災、防犯、衛生そして景観への悪影響が出てくる。

法改正では、住宅が立つ土地の固定資産税が6分の1に減額されるなどの優遇措置を廃止し、きちんと管理されていない空き家を解体し更地にするよう促す。もう一つは、空き家の活用を重点的に進める「促進区域」を市町村が設定し、カフェや宿泊施設に転用しやすくするというものだ。

区域は限定されるが、再利用の方が夢がある。最近は地方の空き家に都市部から若者が移り住み、改築して住居や仕事場にし、新しいビジネスを始める例がテレビなどでよく紹介される。理想的な解決パターンだ。

今は空き家となった近所の家に、かつて人が住み、町ではベビーブームの世代の中高生をはじめ沢山の子供たちが遊ぶ姿を見てきた者としては、現状は本当に寂しい。人さえ増えれば、空き家問題など簡単に解決するのだが。