気まずい会食相手 韓国から

ある大手新聞が新年企画で実施した世論調査で興味深い結果が出た。政治理念が異なる人と食事したり一杯やることについて「気まずい」と答えた人が4割で、「気まずくない」(5割)より少ないながら「半数近くに達した」(同紙)。政治談議好きな韓国人らしい質問と答えだが、理念の分断が社会に影を落としているのを裏付ける形になった。

筆者も仕事柄、会食時に政治の話を持ち出したり、相手から聞かされることが多いが、実は「気まずい」と感じることもある。ことさらインタビューになると「仕事だから」と気張って自分の意見と真逆の話を延々とされても我慢して聞く。しかし、やがて食事が喉を通らなくなるものだ。そういうぎこちなさは相手にも伝わるもので、「食事ではなく、せめてティータイムにすべきだったかな」と後悔する羽目になる。

日韓関係の取材ではこんなこともあった。相手はガチガチの「反日」大学教授。あいさつもそこそこに、いきなり小一時間にわたって昔日本が朝鮮半島で何をしたか“お説教”され、こちらが質問をする間隙すら与えない。さすがに気が滅入ってくると、時計を見て「もうお昼ですね、私が美味しいものを御馳走しましょう」。それまでとは別人のように満面の笑みをたたえ、食事をしながら堅苦しい話を抜きにした四方山(よもやま)話に花を咲かせたのだった。

この国では食卓に政治談議を不用意に持ち込まないのがマナーであるのを忘れまい!(U)