花火で迎える新年 イスラエルから

目まぐるしかった2022年が過ぎ去り、イスラエルにも2023年が訪れた。イスラエルの社会は一般的にユダヤ暦にのっとっているため、国中が新年ムードというわけではない。それでも、近年イスラエルでは、ユダヤ人も日本人のようにイベントとしてクリスマスを祝ったり、年末にパーティーをする会社も増えている。

エルサレムの中心街の通りや、市内を走るライトレールは通勤や通学に急ぐ人でいっぱいだ。旧市街で降りてキリスト教地区まで歩いて行くと、別世界のように美しい飾り付けが施され、新年のウキウキ感が味わえる。通りは、観光客はもちろん、地元のアラブ人やユダヤ人でごった返している。キリスト教徒でなくても、楽しい雰囲気は誰でも味わえるし、立ち並ぶ商店の主人にしてみれば、品物を買ってくれる人は、誰でも良いお客さんである。

イエス・キリストが育った場所として有名な北部のアラブ人の都市ナザレでは、元日の午前0時に町の至る所から一斉に打ち上げ花火が上がった。驚いたことに、花火の多くは、一般の住宅屋上や庭から打ち上げられていた。ナザレはキリスト教徒の町だと思われがちだが、人口約8万人のうちキリスト教徒は約3割と少なく、イスラム教徒の方が多い。イスラム教徒もクリスマスパーティーを開き、新年を迎える花火を豪勢に打ち上げる。

エルサレムもナザレも、宗教の違いを超えて一緒に新しい年を迎えられることは、喜ばしい限りだ。

(M)