【上昇気流】(2022年12月21日)

中小企業庁と資源エネルギー庁

民間就業者の7~8割が働いている中小企業は付加価値の5割を占めている。中小企業対策は産業政策のうち最も重要な課題の一つだ。新型コロナウイルス禍の中、中小企業庁が「激変する世界・日本における今後の中小企業政策の方向性」と題したリポート(概要・参考資料集)を出したのは半年前。

「中小企業政策の重要課題は、コロナ禍を乗り越えるための事業継続支援」であるとともに「世界・日本が新たな構造変化の局面を迎え、リスクに対応したサプライチェーンの構造改革への要請」として変革の重要性を強調した。

この後半部分の動きを加速させるべきだ。半導体、水素エネルギーの生産等々、一大技術革新期の中で中小企業の役割は分化している。政府はその動向を的確に捉える必要がある。

中小企業の動きを見ると、一つは専門性を深化させて技術力を高め、開発力を確保することによる専門企業への発展がある。逆に親企業による技術や経営の指導がより大きくなり、下請け関係をさらに強化するケースも。

一方、金融の異次元緩和が固定化したため、ゼロ金利がなければ存続できない生産性の低い企業が増えた。それぞれの対策で政府の力量が問われる。

平成の初め、経済の構造変化への適応のため施行された支援策では、中小企業の海外進出が促され、必ずしも国民経済の発展につながらなかった。あくまで国民生活向上のための支援策であることを忘れてはならぬ。