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居酒屋が所狭しと並び、昔ながらの那覇市の賑(にぎ)わいを見せている栄町市場の一角にある居酒屋「おでん東大」の店主の女性が今年夏、殺害された。この事件で、被害者の娘の許田美香容疑者(34)と夫の盛哉容疑者(34)が6日、殺人容疑で逮捕され、県民を震撼させた。
容疑者夫婦は沖縄本島中部の宜野湾市真栄原を拠点としている。「真栄原新町」とも呼ばれ、売春宿が軒を連ねた街として知られていたこの一角は、米軍普天間飛行場に近いことから、米兵相手の「社交街」となった。米兵が来なくなると、地元住民や観光客相手の売春街と変わった。ところが、2010年、当時の市長である伊波洋一氏(現参院議員)が県警と合同で風営法による取り締まり「浄化作戦」を行い、新町地区の店舗は軒並み閉店となり、地域はゴーストタウンと化した。
新町地区の開発計画が進まない中、盛哉容疑者は17年、かつて売春が行われていた店舗を改装してレンタルギャラリーをオープンした。盛哉容疑者はモデルを務めた経歴の持ち主で、美香容疑者は点描画家としてアーティスト活動をして、ともに注目を集めていた。一見、華やかそうに見える夫婦だが、ギャラリーを始めた頃から歯車が狂いだしたのだろうか。
ギャラリーはオープンから3年後の20年9月、火災で焼失してしまった。クラウドファンディングを募って再建を目指している最中での殺人事件と逮捕劇だった。
一方、栄町の飲食店街は、一時期衰退していたが、ここ10年ほどで賑わいを取り戻していた。ギャラリーがオープンした当時は「那覇の桜坂や栄町のように、このエリアを活性化したい」と話していた2人は容疑を否定しているが、事件の動機の解明が待たれる。
(T)



