
北陸の冬の味覚と言えば、日本海の荒波で育ったタラや寒ブリだ。石川県漁業協同組合が創設した寒ブリの最高級ブランド「煌(きらめき)」の認定が始まり、初日に10匹のうち1匹だけが認定され、400万円で競り落とされた。
天然ブリでも、冬の脂が乗ったのと、春秋のそうでないものとでは、味には大きな差がある。煌は2006年に商標登録された「天然能登寒ぶり」の最高位。重さ14㌔以上、胴回りが十分あることなど厳しい基準をクリアすることが条件となっている。
近年どの県でも、水産物のブランド化に熱心だ。煌などいかにも高級感がある分、実質を伴わなければ名前負けとなってしまいかねない。選定を厳しくするのは当然だ。
400万円の値は景気付け、打ち上げ花火の意味があるだろう。それでも、初競りで青森県・大間のマグロに1匹2000万円ほどの値が付くのを考えれば、まだ控えめと言っていい。
値段は別として、味そのものを比べた時、脂の乗った寒ブリの美味(うま)さはマグロのトロにも劣らない。好みにもよるけれど、寒ブリの脂の方が上品な感じがする。
能登では、日本海から雪雲が近づくと雷が鳴ってあられが降り、本格的な冬の到来を告げる。これを「ブリ起こし」という。海が荒れだすと、陸に近い定置網にブリが入ってくるからだ。寒ブリ漁は年によって漁獲量の差が大きいと言われる。この冬、果たして何本の寒ブリが煌を名乗ることができるのか、楽しみである。



