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食欲の秋、沖縄はイモ類が豊富で、一般的にはお菓子のタルトで知られる紅芋、金武町特産の田芋などが有名だ。沖縄本島北部のファーマーズマーケットに行くと、かなりの種類のイモ類が売られているが、その中でもひときわ目立つのが、わらじやメロンぐらいの大きさの山芋だ。
その正体は、クーガ芋と呼ばれる琉球自然薯。和名ははり芋、学名はトゲドコロ。沖縄で2000年前から自生しており、ごく一部の農家で栽培されていた自然薯(じねんじゅ)。秋の季節になると一部のファーマーズマーケットなどに出回るが、出荷量はそれほど多くない。
何と言っても粘りが強いのが特徴だ。本州で栽培される自然薯をも上回り、一般的にスーパーで売られている山芋や長芋とは雲泥の差がある。すり下ろした後は、多めのだし汁で薄めないと食べにくい。
栄養価が非常に高いため、沖縄では「畑のうなぎ」として知られる。滋養強壮に大きな効果をもたらす「ジオスゲニン」という成分が、他の山芋に比べて200倍多く含まれている。また、ネバネバ成分が、胃壁を覆い粘膜を保護し、血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの分泌を抑えてくれる作用があり、アンチエイジング効果も期待されている。
沖縄テレビ開発(那覇市、大田直也社長)は中でもジオスゲニンに着目。立命館大学と共同研究・臨床実験を行い、この成分が筋質改善と血圧改善効果があることをヒトの臨床試験で確認した。沖縄長寿県の復活を目指すこの取り組みは、2021年度の県新産業事業家促進事業に選ばれた。
現在、生産量を上げる取り組みが進められているが、将来的にはモズク、ゴーヤー、ウコン、シークワーサーと並ぶ沖縄健康食材として認知度が高まることになりそうだ。
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