【上昇気流】(2022年11月4日)

七五三

七五三のシーズンになった。子供たちの健やかな成長を願う日本の伝統行事である。正式には11月15日だが、七五三詣では始まっていて、近くの神社でも両親に手をつながれた袴(はかま)姿の男の子が参拝に訪れていた。

子供の成長の記録にもなるから、みな記念写真を撮る。昔と違って最近はいろいろ趣向を凝らすようで、男の子などはおもちゃの刀を持ちポーズを取らせたりするのが流行らしい。

気流子の郷里の田舎町の駅前にも写真館がある。ショーウインドーにそこで撮られた記念写真が幾つも飾ってあり、その前を通るとつい立ち止まって眺めてしまう。家族写真や入学、卒業記念が多いが、七五三の写真もある。

先日帰省した時は、7歳の男の子を筆頭に女の子、そしてもう一人男の子が揃(そろ)った写真が飾られていた。いいものを見たという気がして、何だか嬉(うれ)しくなった。少子化が進む中、この子たちの両親は表彰ものだとも思った。

しかし考えてみると、昭和30年代に生まれた気流子の町内には兄弟が3人以上という家が多かった。5、6歳上がベビーブーム世代で、三兄弟が揃って七五三詣でに行くことも珍しくなかっただろう。

郷里で旧友と会食すると「昔は活気があったよな」という話になる。あの頃は、町の至る所で子供たちが遊んでいて楽しかったと口をそろえて言う。それが、今では子供の姿をほとんど見掛けない。よその子の七五三の写真につい頬が緩んでしまうはずである。