
カヤツリグサ科の植物は、秋になると、イネ科の植物と同様、よく目に付くようになる。真っすぐに伸びた茎の上で、線香花火のように苞葉(ほうよう)と花序を付ける。目立つほどではないが、見れば見るほど面白い。
植物図鑑を開いてみたら「見た目は地味だがマニアも多い」と記してあり、気流子以外にも関心を持っている人々がいることを知った。日本だけでカヤツリグサ科は500種以上もあるという。
特徴の一つは三角形の茎だ。その茎は外からの力に一番強いが、中心からの距離がまちまちで水分が届きにくい。そのため、湿った場所を好むという。近所にタマカヤツリの生えている所がある。
公園の中の流れのほとりで、大きくて1㍍にも。秋が来て行ってみると、業者が来て雑草を刈り取り、その群れも刈られてしまっていた。ほかにあるはずだと探したら、近くを流れる川の岸辺に群生していた。
タマカヤツリは、花序の部分が丸くピンポン玉の形。カヤツリグサより粋だ。茶道の世界では、これらの花が茶花として使われている。茶花とは茶室の床に生ける花のこと。千利休によれば「花は野にあるように」。
茶花には野草もよく使われる。ススキ、ワレモコウ、ツワブキ、ノコンギク、レンゲショウマ、ヤクシソウ。カヤツリグサを茶花として提供する販売業者もいる。床の間に生けられた花を、岡倉天心は『茶の本』で「玉座の王子のようにすわっている」と形容した。



