大統領経験者の国葬 韓国から

先月の安倍晋三元首相の国葬は韓国でも話題だった。日本を「右傾化」させ「再び戦争できる国」にしようとした「アベ」氏は不評だったが、非業の死は衝撃的だったようだ。

菅義偉前首相は弔辞で、安倍氏が生前読んでいた書籍『山県有朋』の、山県が死んだ伊藤博文をしのぶ場面を紹介したが、ある韓国紙の東京特派員が早速書いていた。「朝鮮を強制併合した伊藤と山県」だったが、彼らの葬儀が国葬だったのは「日本のための政治家だったから」と。また「アベの信念は菅前首相などの政治家に受け継がれるだろう」とも。

ところで韓国歴代大統領の葬儀も朴正熙氏や金大中氏は最上位の国葬で、また金泳三氏や盧泰愚氏は法改正を受け、以前の国葬と同格の国家葬として執り行われた。

だが、「安倍氏国葬反対」のように葬儀でもめたこともある。退任後、巨額収賄疑惑の渦中で自死した盧武鉉氏の場合、格下の国民葬だった。盧氏の捜査を支持した保守系議員たちが霊前を歩くと、盧氏の側近議員が「人殺し!」と叫び、警備に取り押さえられる一幕もあった。民主化運動を弾圧して多数の死者を出し、その後長く非難された全斗煥氏は国家葬を見送られ、埋葬も歴代大統領が眠る国立墓地ではなかった。

弾劾、逮捕、収監、不正疑惑…。存命中の前職大統領たちとて実にいろいろある。悲しいかな死後必ず国葬にあずかる保証などなさそうだ。(U)