
昔の駄菓子屋は、今でいうと小さなスーパーのようなものだった。子供時代、小銭を握って通い詰めた。現在、それに当たるものが100円ショップ(百均)だろうか。何か買いたいものがあるわけではないのに、つい店に寄ってブラブラしてしまうからだ。
駄菓子屋では、必ずといっていいほど、奥の席にはおばあちゃんがいて店番をしていた。そのおばあちゃんが子供たちをニコニコと見守っていた。だが、百均にはおばあちゃんに当たる人がいない無人決済の店もある。
百均と聞くと、気流子が思い出すのは古本屋の100円均一コーナー。学生時代、自由に使える資金がなかったので、奥には入らず、店先にある均一コーナーで長時間粘ったことを記憶している。それほど他人はいざ知らず、自分にとっての宝物があった。
といっても、文庫本の絶版本を漁(あさ)るぐらいだったが、それでも十分に楽しかった。昔の文庫本には風格があって、戦後の一時期を除いて紙質も良かったような気がしている。
薄っぺらで小さな活字が並んでいて、見づらかったが、それだけ本をしっかりと読んでいるという実感があった。
読書の秋である。今月の27日~11月9日は読書週間で、読書に関するさまざまなイベントが全国で行われる。もともとは戦後の精神文化再建のために制定されたことは割合知られている。昔は「良書を読もう」が主流だったが、今は本を手に取ってもらうことが主になっているようだ。



