奇跡を求め巡礼地へ イタリアから

ローマ・カトリック教会の近代化に貢献した第2バチカン公会議が開催されて今月11日で60年目を迎えた。会議を提唱したのは教皇・ヨハネ23世だ。教皇は信者に愛され、慕われてきた。筆者は2013年9月にイタリアの小都市ベルガモ郊外にある生家を訪れた。多くの巡礼者の群れに出会った。巡礼者の中には病に悩む人、病人を抱える家族たちもいる。

生家にはヨハネ23世の銅像があるが、その手、唇周辺は色が剥げている。関係者に聞くと、「巡礼者たちがヨハネ23世に触れれば病が癒されると信じて、手や唇を触るから、そこだけ色が剥げてきた」という。

カトリック教会には多くの巡礼地がある。よく知られているところでは、ポルトガルの聖母マリアの再臨地ファティマ、フランス南西部の小村ルルド、最近ではボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ西約50㌔のメジュゴリエだ。毎年数百万人の信者が訪れる。

そのほか、スロバキアのリトマノハーでも聖母マリアが2人の少女に現れ、数多くの啓示を行っているが、公式には巡礼地として認定されていない。アイルランド西部の小さな町ノックで聖母マリアが再現するという霊能者の予告を信じて数千人が集まったという。ノックでは1879年8月、聖母マリアが出現し、それ以来、巡礼地として多くの信者が毎年、訪れている。

巡礼者には病人や老人が多いが、若者の姿も少なくない。教会関係者は「科学文明を享受している若者たちも奇跡に飢えているのだ」と説明する。(O)