先日、韓国人の友人から届いたスマホのショートメッセージを開けてみて驚いた。「交通事故で入院中、キム女史にやられた!」と書かれていたのだ。急いで電話すると、自動車で高速道路を走行中、隣の車線を走っていた車が突然、方向指示器も出さずに割り込み、それを避けようとハンドルを切って中央分離帯に激突、車が大破したという。幸いエアバックのおかげで軽い脳震盪(のうしんとう)で済んだようだが、一歩間違えれば大事故になっていた。
「キム女史」とは割り込んできた車の運転手を指して言ったものだが、女性の苗字(みょうじ)がキムだったわけではない。運転が上手でない女性の総称として、主に男性陣の間で「キム女史」と呼ばれてきた。もちろん「偏見に基づいた嫌悪表現」(オンライン辞典)に違いないが、もう20年近くこの言葉が使われ続けてきたのも事実。ワイルドな運転が多い韓国では、なおさら男女のスキル格差が目立ってしまうのかもしれない。
筆者も何度か「キム女史」に遭遇したことがある。車を運転中、交差点に差し掛かり、青信号に従って直進すると、左側からいきなり左折を試みようとした車が飛び出し、出合い頭に衝突。信号待ちしていた時に後ろからぶつけられ、同乗者がむち打ちになったこともあった。運転手はいずれも女性で、悪びれる様子もなく、言い訳に終始していた。「キム女史」が増えている影響か、簡素化された運転試験の見直しを促す声が出ている。(U)



