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今月初めの大雨による土石流で、住宅などに大きな被害が出た新潟県村上市。市内の小岩内地区では、過去の水害の教訓を生かし、区長が公民館に避難していた住民を高台の民家へ移して難を逃れた。
記録的短時間大雨情報が発表された中、住民らの自主的な公民館への避難が滞りなく行われたことが見事で、その後の行動につながった。「自助・共助・公助」は災害対策の基本だが、自助と共助の歯車が噛(か)み合ったと言えよう。
ただ土砂災害の場合、たいていピンポイントで起こるので、住民は大雨情報が出てもすぐには自宅の立地が危険かどうか分かりにくい。一般的に、避難の行動は遅れがちになる。
同じ新潟県内だが、5年ほど前から新潟大学災害・復興科学研究所などが、長岡市寺泊山田地区を中心に「裏山雨量計プロジェクト」を進めている。各地区の裏山に雨量計を設置し、そのデータを住民に分かりやすくリアルタイムで提供する作業だ。
豪雨時、今居る所にどれほど危険が近づいてきているかを知ることができ、避難のタイミングを自ら判断できる。その情報はWeb画面で見られるが、全ての人に理解する能力を要求するのは酷なので、コミュニティーにおける避難のリーダー役の育成が願われている。
費用もさほどかからず、地道だが着実な防災体制づくりだ。全国に広がれば、先の小岩内地区のように、突然の豪雨による災害から人々の生命が守られるだろう。



