【上昇気流】(2022年8月7日)

神田川

神田川は井の頭池に発する東京の都心部を流れる川だが、水源に近い京王井の頭線の駅沿いの狭い道は、ジョギングや散歩する人が往来する。自転車もよく通る。特に夏は、日中は蒸し暑いので、夕方すぎに散歩している人が多い。

時々、川を泳ぐ鯉が跳ねる大きな音が響いたりする。日が落ちると、夕暮れの空が薄暗くなって辺りは暗さが一気に増す。

川沿いの住宅や公団アパート、商店の明かりがつくと少し寂しくなってくる。駅近くの橋に提灯(ちょうちん)の明かりがともっているのを見掛けた。町内商店街主催の七夕祭りの開催を知らせるものだ。

きょうは月遅れの七夕の日に当たる。全国的に見ると、七夕祭りの開催日は7月7日と8月7日とに分かれる。東北三大祭りの一つとして有名な仙台七夕まつりは8月開催である。これは旧暦と新暦の違いによるものだ。もともと日本ではお盆と結び付いていたが、今ではそれが薄れてしまっている。

ここ数年、新型コロナウイルス禍によって中止や縮小に追いやられたりもしたが、今年は無事に挙行されるようだ。祭りは地元の神社などと関係が深く、五穀豊穣(ほうじょう)祈願や収穫祭などの意味があったが、今では町おこしなどを兼ねている面も。

「七夕の願ひ一枚風に飛ぶ」(冨士原芙葉)。商店街主催の祭りも、地縁の人々の絆を深める意味があり、習俗と退けることができない。今年は災害や事故などが多発し、七夕の願い事は何を書けばいいのか少し迷う。