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2005年4月に中国の主要都市で「反日デモ」が繰り広げられたことがある。デモの一部は暴徒化し、日系スーパーや日本大使館などが襲撃された。中国当局が日本の国連安保理常任理事国入りを牽制(けんせい)するために仕組んだ「官製デモ」だった。
この年は国連創設60年の節目で国連改革の機運が高まり、日本はドイツ、インド、ブラジルと4カ国グループ(G4)を結成し、常任理事国入りを目指した。
これにはG4の周辺国がこぞって反対した。日本には韓国、ドイツにはイタリア、インドにはパキスタン、ブラジルにはアルゼンチンとメキシコ。国益が絡んで常任理事国拡大案は頓挫した。
米国では議会から委託された超党派の国連作業特別班(ギングリッチ元下院議長ら)が勧告書を出した。安保理改革に触れず、国連は民主主義と独裁の区別を明確にしていないと痛烈に批判し、国際機構は民主主義の原理が主体となり独裁国家の価値観を排除することが最も重要と強調していた。
勧告書には「国内で大規模な人権抑圧を続ける国家は国連への説明責任を負うシステムを確立する」ともある。ロシアのウクライナ軍事侵攻や中国の人権侵害をめぐる今日の論議にも相通じる。
先の日米首脳会談では、バイデン大統領が「改革された国連安保理」において日本が常任理事国になることを支持したという。改革された安保理の中身は不明だ。価値観を明確にして臨まないと画餅に帰す。



