【上昇気流】(2022年5月27日)

フィッシュ・アンド・チップス

英国を代表するファストフードで、庶民のソウルフードであるフィッシュ・アンド・チップスが、ピンチに直面しているという。その大半をウクライナに頼っていたヒマワリ油の輸入が滞っているためだ。価格が3倍にもなり、業界団体によると、英国内約1万店舗のうち3分の1が今後9カ月以内に閉店を迫られる恐れがある。

気流子も英国滞在中、よく食べた。どうしても肉中心の食事になりがちな中、手っ取り早く魚を食べたい時は、フィッシュ・アンド・チップス店に駆け込むのが一番だ。

ヒマワリ油で揚げているから油もしつこく感じない。町に必ず何軒かある店に行くと、円錐状に丸めた包み紙の中に白身魚のフライとフライドポテトを入れて渡してくれる。それを手でつまんですぐに頬張るのが一番おいしい。

海辺のレストランなどでも供される。しかしそんなところでナイフとフォークを使って食べると、それほどおいしく感じないから不思議だ。

気軽に頬張るのが一番なのだ。それができなくなると、フィッシュ・アンド・チップスの魅力そのものが半減してしまうだろう。

もっとも、それで英国人が、ロシアに対して融和的な気持ちに傾くことはあり得ない。第2次大戦中、ドイツ空軍のロンドン大空襲で、戦意を喪失するどころか、ますます高揚させた。むしろ心配すべきは、世界食糧計画(WFP)のビーズリー事務局長が警告する世界の食料安全保障への深刻な影響である。