
6月は性的少数者(LGBT)の権利や文化を祝う「プライド月間」として、世界各地でさまざまな行事が開かれているが、米国では子供に過激なショーなどを見せるイベントが相次いで開催され、波紋を広げている。保守派や保護者からは「子供に不適切だ」という批判が噴出している。(編集委員・早川俊行)
プライド月間のイベントで問題視されているのは、「ドラッグクイーン」と呼ばれる主にゲイのパフォーマーが派手なメークと女装で激しく踊るショーを「家族向け」と称して子供たちに積極的に見せる動きが広がっていることだ。
特に批判が殺到したのが、テキサス州のゲイバーで今月4日に開催されたイベント。小学生くらいの子供数人がドラッグクイーンのダンスを見詰める様子が映った動画がソーシャルメディア上に流れ、炎上した。会場には卑猥(ひわい)な言葉の大きなネオンサインが掲げられ、子供がドラッグクイーンにチップを渡す場面もあった。
学校でドラッグショーが開かれるケースもあり、生徒たちが過激なダンスに拍手喝采を送る動画が流れている。幼い子供たちを対象にしたドラッグクイーンによる読み聞かせイベントも学校や図書館で開催されている。「プライド月間は事実上、ドラッグ月間と化した」との声も出ているほどだ。
LGBT活動家らはドラッグショーを「芸術の一形態」と主張するが、保守派は「女装した成人男性による性的なダンスパフォーマンスは子供には不適切だ」(有力保守派団体「家庭調査協議会」)と強く反発。インディアナ州では、公園で開催予定だった家族向けドラッグショーが批判を受けて中止に。テキサス州では、未成年者にドラッグショーを見せることを禁止する法案を提出すると表明した州議会議員もいる。
米国の若い世代では近年、LGBTと自認する人が増えている。こうした傾向も、子供向けのドラッグショーが積極的に開かれる背景になっているようだ。



