池永 達夫
欧州・ロシア
ペトロロンダリング、戦禍で稼ぐ中印 制裁ロシア産原油、廉価で輸入
ロシアのウクライナ侵略後、ロシア産原油は欧米から輸入禁止などの経済制裁を受けたものの、輸出量は侵略前の去年を上回っている。ロシア産原油の受け皿になっているのは中国とインドの石油会社。廉価なロシア産原油を大量に輸入し、自国で精製した石油を高騰が続く欧米市場へ輸出している模様だ。精製過程で原油の原産地を証明するのは難しく、ロシア産原油を石油製品に精製して輸出する「ペトロロンダリング(原油洗浄)」が、制裁措置の抜け穴に利用されつつある
メディアウォッチ
原発政策の方針転換を産業基盤という大きな視点で論じた読売
岸田文雄首相は8月24日、これまで再稼働にこぎ着けた原子力発電所10基に加え、来夏以降に7基の再稼働を目指すと表明した。さらに、原発の新増設や建て替え、次世代型原子炉開発も検討を急ぐ。
メディアウォッチ
終戦記念日、憲法前文が時代に合わずと日経・読売、旧態依然の東京
日本において8月15日は特別な日だ。主要各紙も例外なく、終戦記念日をテーマに社説を掲載したただ、ロシア軍のウクライナ侵略が、これまでの安全保障論議の風向きを大きく変えている。
メディアウォッチ
中国の挑発的軍事演習、「火遊びしているのは中国自身」と読売・東京
ペロシ米下院議長の台湾訪問に猛反発した中国が、挑発的軍事演習を続けた。中国人民解放軍は台湾を取り囲むように6カ所の海空域を設定、「台湾封鎖」を想定した演習だとみられている。
インタビュー
台湾侵攻時、露・北が陽動作戦も
ロシア軍のウクライナ侵攻から今月下旬で半年を迎える。東アジアでも懸念される中国の台湾侵攻リスクの高まりや武力威圧を強化する北朝鮮など、ユーラシア大陸の東西で安全保障問題が急浮上している。最悪のシナリオは中国、ロシア、北朝鮮が強力なタッグを組んで西側に立ち向かってくることだ。それがあり得るのか、国際関係アナリストの松本利秋氏に聞いた。
記者の視点
ペロシ米下院議長訪台 変化したパワーバランス
米国連邦議会のナンシー・ペロシ下院議長の訪台は、東アジアにおけるパワーバランスの変化をあぶり出した。あぶり出した火は、ペロシ氏がマレーシアから台北に向かった航路と特派された米空母が台湾東部海域に陣取ったことだ。
中南米
スリランカ、新大統領が就任 破産国家、嵐の中の船出
スリランカで先月下旬、首相などを務めてきたウィクラマシンハ氏が大統領に正式に就いた。任期はラジャパクサ前大統領が務める予定だった2024年11月まで。通常、新政権は本格始動するまで「ハネムーン期間」があり、国民やメディアも見守り態勢で臨むが、5月にデフォルト宣言を出したスリランカ政府に優雅な時間を楽しむ余裕はなく嵐の中の船出となった。債務の減額交渉や国際通貨基金(IMF)への金融支援要請、国民の生活を脅かしているエネルギー不足やインフレ対策など、早急に手を打たなくては前政権同様の〝座礁〟が待ち受けている。
メディアウォッチ
防衛白書社説、ストレートの日経・読売、論点ずらしの朝日
公表された2022年版防衛白書に関し、各紙は社説を掲載した。ざっくり言うと日経・読売が直球ど真ん中、朝日くせ球、東京暴投の社論展開といったところか。
アジア・オセアニア
ミャンマー軍、反体制派抑え込みに新手
ミャンマーで軍によるクーデターから1年半が経(た)とうとしている中、軍に協力する民兵組織ピューソーティーの動きが目立つようになってきた。武装した私服姿のピューソーティーは、村落の焼き討ちや民主派活動家の拘束などを行っている。クーデター政権にとってみれば、軍や警察の手を汚すことなく反軍政派の動きを封じ込めることができるとともに、ワンクッション置くことで国際社会からの直接的な批判をかわすことも可能となることから、“便利屋”として悪役を押しつけているふしがある。



